2009年09月12日

自由と平和を守りぬいた世界最古の共和国  サンマリノ共和国

題名:自由と平和を守りぬいた世界最古の共和国
   サンマリノ共和国
著者:ジュゼッペ・ロッシ
訳者:管 博 マンリオ・カデロ
出版:日商データバンク
初版:1987年

凄く変わった本です!
日商データバンクの本を読むのが初めてだったからかもしれませんが、大変印象的な本でした。

小型で薄く誰にでも読める量ですが、出だしが凄い!!
まず最初に
元内閣総理大臣 福田赳夫
自由民主党幹事長(1987年当時)安部晋太郎
日本国外務大臣(1987年当時)宇野宗佑
東京大学総長(1987年当時)森 亘
サンマリノ共和国名誉総領事 マンリオカデロ

というウルトラそうそうたるメンバーのコメントから始まる。

その割に翻訳は素人くさく、翻訳家の手によるのとは大違いの読みにくさ。

最も驚くのは記述の方法というか、内容だ。
最近の歴史書を読み慣れていると、時代や資料が比較的分かりやすく、著者の感情的な意見はできるだけ排除され、「かもしれない。」「と考えてもおかしくはないのではなかろうか」「という意見もあるが定かではない」などと見解が述べられるが、この本は正反対で、年代はほとんど重要ではなく、資料もたまに言及されている程度で、象徴的な出来事を取り上げて時代表記を進めている。
そしてサブタイトルにも表れているが、全体を貫く愛国心の表現だ。
「国を衛る心が再び芽生え、市民たちは母国への愛に目覚め、日々の行政を勤勉に実行していく気持ちを取り戻した。」「共和国の市民は分別を持って団結し、当時の列強諸国から尊敬の念を抱かれていた。」「国の法律は、かつて良い市民や礼儀正しい職員、または向上心を持つ執政官を育成していた時代に、、」「偉大なる母イタリアの解放のために」など読み慣れない文章に満ちていて、ある意味面白い。

日本においてはたぶん歴史的な選挙の後で、毎日のように防衛問題を考えさせられる時期に、適した読み物だった。一言で簡単に言えば
「自由を守り抜くには、軍隊と外交」が必要。
でもそれは中世の話であって、現代においては
「強大な力に対する小国の問いかけとして、共和国は軍隊を動員する試みはせず、慈善を行う道を取った。」
ということで
「小さな国サンマリノ国に言及するとき、人は自然に偉大なサンマリノの国民のこともかたりたくなるのである。」
そうだ。

歴史研究的には全く「なぜサンマリノだけが独立国として残ったのか?」納得に至るにはほど遠いが、権力者たちはこういう点が気になるのだろうか?等と考えながら読める珍しい本だった。
posted by Gianmaria at 12:49| 東京 曇り| Comment(2) | イタリア図書館 biblioteca | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 すごい本ですねー。「良い市民や礼儀正しい職員、または向上心を持つ執政官」「偉大なる母イタリアの解放のために」そう思って生きているイタリア人が今どのくらいいるのでしょうね? 周りのイタリア人を見ていると愛郷心はあっても愛国心はあまり感じられませんし(もちろん共和国になってからの歴史が浅いこともあると思いますが)、礼儀正しい職員や向上心を持つ執政官って未だかつて会ったことないような・・・でも日本も似たような状況がある気がしますので笑いごとではありませんが。
 「強大な力に対する小国の問いかけとして、共和国は軍隊を動員する試みはせず、慈善を行う道を取った。」これ、日本のように小さく、資源も少なく、核を持たない国が誇り高く、また他国からも尊敬されながら生きていく唯一の方法のような気がします。地球全体を何度も破壊できるほどの核が作られてしまった今の世界の状況を考えるとなおさらです。
Posted by ONDA at 2009年09月29日 18:32
ONDAさん

お久しぶりです。
いつもありがとうございます。

この本読まれましたか?
たぶん発行部数も相当少ないと思うし、一般書店では入手しにくいような本ですが、、。

私は、今、中野区にいるので、長妻議員をしょっちゅう見かけました。税金の問題を特別に取り上げて有名な人です。
この本は大与党だった頃の自民党の重鎮がコメントしているものなのですが、彼らはいったい読んだのか?読んだとしたらONDAさんも書かれているような大国に対する小国のあり方をどう捉えたのか?興味は尽きません。

ただ日本は世界から見れば、特別な小国では決してないし、多くの政治家や国民も小国とは思っていないと思いますが、ヨーロッパのように一国では小国でもEUという文化的、歴史的同胞がいる国とは、全然違い日本の特殊性を痛感します。
Posted by Gianmari at 2009年09月30日 09:58
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